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ブログ掲載版「Grizeldaのまじっく☆りふれ」

 

恥ずかしながら、帰って参りました。
 

Thousands of Knives Grizelda

「Grizeldaのまじっく☆りふれ」
 
王都の大衆酒場「塩犬」は、酔客たちの異様な耳打ち声に満ちていた。
周囲の視線を集める片割れは、宮廷魔術師のロワゾ。
ひと昔前ほどでもないが、ガゴ種族に対する認識はそんなものである。
否、あからさまに話題をさらっているのは、
ロワゾとテーブルをシェアする、頭にネギ帽子を乗せた青白い女だった。
ひそひそ話のボルテージが高まり、注文どころではなくなってきたとき、
給仕のバイトにありついて間もない、16歳の女の子は名案を思いつく。
人差し指で4拍子の軌跡を宙に描き、
フリルエプロンに包まれたお尻をぴょこんと突き出して、
こう言うのである。
 
「Trick or Treat!.. ですから(ぼそっ)。」
 
決まった(にやり)。
 
 
「ほらGriちゃん、あーゆーのが男ウケするのよ。わかる?」
 
「無理。あたし実年齢いくつだと思ってんの。
 16歳ですら痛いでしょ。上限8歳幼女かな?」
 
街にハロウィンの喧騒が訪れる頃、魔女Grizeldaは冬篭りのために、
いままで以上の貯蓄を強いられる。
今月は彼女が王都の片隅で目まぐるしく展開した、
少しニッチな個人商売のお話です。
 
「で。レイスフォームで塩犬に通うのと、どーゆー関係が?」
 
「こうして食事してる間にも本体は、ちゃんと仕事してるのよ。」
 
ロワゾは俄かに理解できなかった。
世間様には癒し系サムシングが儲かるとの入れ知恵まではした。
勧められるままに試したのは、「足裏りふれ」なる店だという。
本来は技能資格が必要なマッサージ業なので、
そっち皆目素人のGrizeldaは、魔法による代用手段を模索したり、
振りつけ主体の劇場型を説得したりーの、
ロワゾもわりと親身に肩入れしてきたわけである。
その自称"足裏りふれ"から3回目の看板付け替え。
 
「その名も"魔女Grizelda様がアンタの悩み聞いてやんよ"相談室!」
 
だそうである。
 
王都イーストサイドの建物北面。
暗闇の壁を押して入った先には、ぱふぱふ空間に酷似した小部屋があり、
人生に疲れた親父が魔女にひれ伏しながら、一心に何かを告白している。
 
「ぼそぼそっ.. あのね、今日ね、上司が酷いんだよ.. ぼそっ.. 」
 
悩み聞いてやんよ!と豪語したはずの魔女は、
ぺスパー風の飾り椅子に足を組み、端正な横顔を明後日のほうへ向けて、
客が喋るがままに任せている。
宮廷魔術師でなくとも、魔法の素養ある者なら理解するだろう。
あれがレイスフォームしたGrizeldaの本体である。
 
「あたしもワケわかんないんだけどさ。
 何かアドバイスするでもなく、60分経過すればセット料金払って、
 満足げに帰っちゃうの。」
 
「客がそれでいいなら、お上は何も言わないわよ。」
 
 
王都が侵攻軍の災禍に見舞われたのは、それから数日後である。
ロイヤルガード騎士団は王城への侵入を断固阻止、
街中に躍り出た賊たちも、有志により組織されたアバターによって、
見る間に駆逐されていく。
だが、瞬殺されるのは杖を武器にした将軍格ばかりで、
戦槌や斧、合成弓などを携えたモヒカン級に対して、
防衛ラインがまるで役目を果たしていなかった。
 
「ねぇ、母ちゃん.. 父ちゃんは無事に帰ってくるよね?」
 
侵攻とは無縁の農村コーブに、
王都へ出稼ぎする父親の安否を気遣う、母子がいた。
街ではガードセキュリティが機能せず、モヒカンはやりたい放題。
ほとんどの出稼ぎ人夫が絶望視される中、
ぽつりぽつりと帰郷する者があらわれ始める。
 
「恥ずかしながら、帰って参りました。」
 
テーブルで祈りを捧げる母子の元にも、
風采のあがらない親父が、樫の木の表戸を開いて頭を掻く。
 
侵攻軍も退けられ、数日後。無事に帰還を果たした者たちの間で、
ある都市伝説が語られるようになる。
 
「両隣を逃げていた同輩がFire Ballの呪文で燃え上がったとき、
 俺っちも終わったと観念したね!」
 
「おうよ。だけど何故か、自分だけは呪文が跳ね返っちまってさ。
 この通り、命からがら逃げ帰ったわけさ!」
 
モブ親父たちの共通項。
それは、魔女Grizeldaの店へ熱心に通い続け、
とっておきの「まじっく☆りふれ」を浴びた連中であると、
※振りつき&詠唱語尾"にゃん"つき
明らかになった。
 
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